体験を通じて京都の伝統文化を学ぶ場所に
荒川邸は明治36年(1903年)に紫野・大徳寺近くに建築された築114年になる中二階建の建物です。間取り・外観はほぼ建築当時のまま残されています。
間口の広い通り庭には5つ竈(かまど)のおくどさんや井戸が残され、農家的な要素を兼ね備えた間取りからは豪農としての繁栄ぶりがうかがえます。
所有者の荒川さんは、「今後は、『地域の繁栄に貢献する』というこれまでの荒川家の意志を継ぎながらここを活用していただきたい。」と希望されておられました。
京都市景観・まちづくりセンターで建物調査を行い、その後、京町家等継承ネットにおける大型町家継承モデルプロジェクトとして協議を経て、活用・維持保全が協議されました。
京町家居住支援者会議より出された提案の中から、株式会社らくたびが「京町家 紫野別邸」として活用することになりました。茶道ゆかりの大徳寺にちなんで修学旅行向けの茶道体験や、おくどさんを活かして京野菜を使った料理教室などに使用され、体験を通じて多彩な京都の魅力を発信しています。

四季を感じる京町家イベント 新春準備お餅つき
株式会社らくたび代表取締役若村さんは「この『らくたび京町家 紫野別邸』を通じて京町家の暮らしの文化を次世代に広く伝えて行きたいと思います。これまで大切に使ってこられた建物や、先人の思いをしっかりと引き継いで参ります。」と語ってくださいました。
京町家居住支援者会議事務局長の吉田光一さん(株式会社フラット・エージェンシー会長)は「所有者の荒川さんの先代は常に『荒川家の持っている資産は、国より預かりもの、管理させていただいているだけです。』と言っておられました。常に地域やまちづくりのことを考え、貢献されていたお姿が思い出されます。このようなかたちで建物が活かされることになり嬉しく思います。」と話してくださいました。